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児童労働を学ぶブログシリーズ ーChild to Readー 第三回目:みんな知ってた?児童労働が飛躍的に増えたのは、19世紀の産業革命がきっかけだった!

執筆:大川聖也

この記事のまとめ

“「児童労働」が、爆発的に増えたきっかけは、19世紀にイギリスで起きた産業革命でした。農村での農業革命やイギリス政府の「囲い込み政策」で、多くの貧しい農業者が、職を失いました。仕事がなくなった農業労働者は都市に多くの人が移住し、産業革命時に工場労働者として働きました。

しかし、時のイギリスは、政府は経済にできるだけ介入しない「小さな政府」の時代。労働環境は最悪で、子どもも働かないと暮らしていけない家庭が多くいました。その結果、児童労働が爆発的に発生しました。

しかし、子どもの長時間労働や懲罰、訓練や安全具の装着がほとんどなく生じる事故などが多く発生しました。また、資本家と労働者の貧富の格差が開き、共産主義が台頭してきた時代でした。「小さな政府」が疑問視されてきた時代でした。

こういった時代背景があり、工場法が制定され、法律上幼い子どもは雇用できなくなりました。

しかし、産業革命により次第に一世帯あたりの収入が上がっていったことで、子どもを働かせなくてもよくなったことが、児童労働削減にとても効果がありました。子どもを持つ「コスト」が上がり、その結果出生率は下がり、今まで生産の手段だった子どもが、保護の対象になるという価値観の変化が起きました。

イギリス産業革命時の児童労働の変遷の歴史から、児童労働を減らすには、まずは国の経済発展が一番重要であるとわかります。”

 


この記事を読むと

・なぜイギリスの産業革命で児童労働が増えたのか、時代に背景や歴史がわかります

・その児童労働はどのように減っていったかがわかります

・歴史から学ぶことで、現代の児童労働を減らすにはどのようにすればよいか考えるきっかけになります


はじめに

2020年に入っても世界で問題となっている児童労働。児童労働の大半は農村で起きている、と言われていますが、児童労働が飛躍的に増えたのは、子どもでもできる作業が飛躍的に増え、人々が都市へと移った産業革命がきっかけでした。19世紀のイギリス、ヴィクトリア朝時代と呼ばれる時代です。

産業革命で子どもでもできる仕事が爆発的に増えそれゆえ需要も増しました。産業革命以前も児童労働は存在していましたが、実は子どもができる仕事はそこまで多くはありませんでした。


なぜ子どもは雇われていた?

 

1.家庭の貧困で子どもが働く必要があった

産業革命時のイギリスの都市での仕事はたくさん生まれましたが、労働者の生活環境は悲惨なものでした。

一日12から16時間の労働と、生きていくだけでやっとの賃金しかもらえていませんでした。その為、子どもが働き余剰で収入を得る必要がありました。

 

どうして都市では生活できないほど賃金が少ないのに、多くの人々が都市に来たのか?

これは、産業革命自体のきっかけにもなるのですが、「農業革命」とイギリス政府の「囲い込み政策」が影響しています。

産業革命が起きる前の18世紀、農業の技術が飛躍的に進歩し、農家では人手が足りており、それで人々は都市へと移住していきました。これは農業革命といわれています。

また、「囲い込み」と呼ばれる、イギリス政府の政策で、小作農から土地を取り上げ、これにより、今までは地主と自営農しかいなかったものが、地主、農場資本家、農場労働者という三者にかわりました。農場労働者として農村に残ったものもいましたが、人手が足りていた為、農業労働者の賃金が低く、また、仕事に就けないものも多く生まれたため、大部分は都市に流れました。

 

2.雇用主からの需要

雇用主から大人より子どもの労働者が好まれるケースが多くありました。理由は以下の通りです。

・賃金が低い、(当時、同じ仕事をしている大人の1割から2割の収入)

・大人に比べて命令に従順

・体が小さいので、狭いスペースでも作業できる

 

3.当時のイギリスは、政府はできるだけ経済に介入しない、という時代だった

当時は、「レッセフェール型資本主義」という自由放任主義が叫ばれ、政府の経済における役割は極力少なくしよう、という社会情勢でした。その為労働環境の法律の整備などされず、雇用主の好きなように労働者を扱えました。

 

「家庭の貧困」と「子どもは従順である」、「法の未整備」は、現在の児童労働の主要な原因でもあり、時代を超えて共通していると言えます。


産業革命時、子どもはどんな仕事をしていた?

煙突掃除、織物工場での機械の操作、鉱山での採掘作業等が挙げられます。織物産業が発展したと同時に、蒸気機関車の誕生によって石炭の需要がとても大きく、体が小さい子どもは作業がしやすかったため、多くの子どもが鉱山で働いていました。


劣悪な労働環境

彼らは、危険で劣悪な環境で働くだけでなく、怪我をしたり事故にあって障害を持っても、雇用側から金銭的補償されることはありませんでした。

足を事故で無くしてしまった児童労働者(アメリカ)


「小さな政府」が疑問視されるようになった社会情勢

レッセフェールで政府が極力経済に介入しないことで、貧しい労働者は搾取され、富裕層と貧困層の格差がとても大きく開いていきました。マルクス主義が台頭してきたのもこのころです。カール・マルクスは、「労働力を売って暮らすしかない多くの貧しい人々は、労働力を買う資本家に買いたたかれて、その結果貧富の格差が拡大している。だから、その資本は社会で共有すべきだ」といういわゆる共産主義を世に叫びました。


子どもの労働を守る法律が制定される

こういった社会情勢や、子どもの労働環境が社会問題化し、最初に工場法によって、子どもの働く時間が規制され、衛生や安全対策などの必要性が法律で規定されることとなりました。

1819年には、一日の労働時間を12時間を上限とする事、1833年には、9歳以下の子どもは雇ってはいけない事が規定されました。

1878年には工場法が改訂され、すべての業種で10歳未満の子どもの労働が禁止されました。

ヴィクトリア朝時代の終わり、19世紀末ごろになると、5歳から11歳までの子どもは義務教育となり、学校に行かせない家庭は罰金を科されるなどしました。また、障がい者への学校が立てられたり、教育費の助成などが始まりました。


子どもへの価値観の変化が起きた

義務教育と工場法によって、子どもはお金の生産手段から、コストに変わりました。その結果、一世帯当たりの子どもの出産人数が劇的に下がることになりました。

しかし、一番大きな出来事は、19世紀の産業革命によって、大人が生み出せる賃金が上昇し、子どもが働かなくても暮らしていける家庭も多くなったことです。その結果、児童労働は少なくなっていきました。事実、1800年から1911年の間で、イングランドの国民一人当たりのGDPは2000ポンドから5000ポンドと、2.5倍になりました。

※7. 出典:  Broadberry, Campbell, Klein, Overton, and Van Leeuwen(2015) via Bank of England(2020)– “GDP per Capita in England”. Published online at OurWorldInData.org.  ‘https://ourworldindata.org/grapher/gdp-per-capita-in-the-uk-since-1270?time=1800..1899’ (参照 2021-2-28) 

実際、19世紀のイギリスで、1851年と1911年の間で、働く子どもの率は半減しました。また、義務教育が始まったことで、子どもの働く時間も大幅に減ることになりました。

※8. 出典: Cunningham, Hugh, and Pier Paolo Viazzo. “Child Labour in Historical Perspective 1800-1985: Case Studies from Europe.” Japan and Colombia, UNICEF, Florence (1996)– “Incidence of Chi per Capita in England”. Published online at OurWorldInData.org.  ‘https://ourworldindata.org/child-labor’ (参照 2021-3-1) 


まとめ

イギリスの産業革命時代を通した児童労働の変遷から、国の経済発展が政府を豊かにし、それにより義務教育などの政策を打ち出すことができ、また、国民の生活も豊かになり、子どもが働かなくてもよくなることがわかります。

発展途上国で、法の変更のロビー活動や草の根の活動を行うというボトムアップの方法もありますが、その国の経済発展が児童労働の削減についてとても重要なのだ、と思いました。


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参考サイト、参考文献:

 

※1 History Crunch, Child labor in the industrial revolution,

https://www.historycrunch.com/child-labor-in-the-industrial-revolution.html#/(2021年2月28日参照)

※2 Foundation of Western Culture, Effects of Agriculture on the Industrial Revolution, http://foundations.uwgb.org/agriculture/#:~:text=Before%20the%20Industrial%20Revolution%2C%20agriculture,to%20keep%20their%20crops%20growing.&text=The%20ever%20rising%20demand%20for,the%20uncertainty%20of%20crop%20success.(2021年2月28日参照)

※3 マナペディア、第2次囲い込み(エンクロージャー)がイギリスに与えた影響とは,

https://manapedia.jp/text/2303(2021年2月28日参照)

※4 Russel Mindfulness Entertainment Blog, (2020,6月), 5分でわかる「マルクス主義」入門。わかりやすく解説!批判や問題点も解説,  http://russellme.com/blog/2020/06/11/apparticle-money1/(2021年2月28日参照)

※5 British Literature Wiki, Education in Victorian England,

Education in Victorian England

(2021年2月28日参照)

※6 UNICEF International Child Development Centre. (1996). Child Labour in Historical Perspective -1800-1985- Case Studies From Europe, Japan and Colombia https://www.unicef-irc.org/publications/pdf/hisper_childlabour_low.pdf(2021年2月28日参照)